高い税理士と安い税理士は何が違うのか?その理由を解説!

税理士に見積りを依頼すると、同じ依頼をしているのに驚くほど見積り金額が違うこともあります。金額の違いが出る理由を解説いたします。

目次

税理士報酬に影響を与える要因

税理士報酬に影響を与える要因は主に次の通りです。

税理士報酬に影響を与える要因

  • ① 担当人員の熟練度(給与水準)の違い
  • ② 税理士事務所の創業年数からくる収益構造の相違
  • ③ 想定稼働時間の見積もりの相違
  • ④ 経営判断への配慮の有無
  • ⑤ 訪問頻度

影響が大きいと思われる順番に並べました。

① 担当人員の熟練度(給与水準)の違い

依頼した業務に対応する人員の人件費の違いが最も大きな価格差になる

依頼した業務を、有資格者である税理士が全面的に対応する事務所もあれば、少し極端な例ですが、無資格の補助者が広範に対応する事務所も存在しています。

税理士の平均年収は、令和6年の賃金構造基本統計調査によると856万円とされており、時給に換算すると、前提とする労働時間にもよりますが概ね@4,000円程度(法定福利費は別途)発生していることになります。これは経験が不足している税理士も含んだ平均です。業務経験を積んで習熟した後に独立して税理士事務所を起こすという一般的なキャリアパスを考えると、小規模会計事務所の有資格者の給与水準はもう少し高い傾向にあると思われます。

そして、給与水準が高い有資格者(年収2,000~3,000万円)が一定数在籍している大手のファームを除き、労働分配率は30~40%程度で運用されている場合が大半ですので、有資格者が対応する場合、1時間あたりのチャージレートとして@15,000~20,000円の請求が必要となります。

税理士事務所で発生するコストは人件費だけではなく、地代家賃、水道光熱費、広告宣伝費、採用教育費、システム利用料等も発生し、人員が稼働している時間を全てクライアントにチャージできるわけではないため、時給換算した人件費とチャージレートには一定の乖離が発生します。

一方で、無資格の補助者であれば、専門的知見がなく熟練していない場合、地域によっては時給1,100円程度で採用できる場合もあります。人件費は有資格者と比較すると4倍近い差になりますので、このような人員が対応する事務所は、報酬を安くしても採算が取れる構造にあります。

補助者が対応する範囲の広さと熟練度は価格を左右する要因

税理士法により独占業務が定められておりますが、会計帳簿の記帳、給与計算、資料整理などの補助的な業務等を無資格の補助者が行うことは税理士法違反ではありません。

税理士の独占業務

  • 税務代理 納税者を代理して確定申告を行う他
  • 税務書類の作成 確定申告書等の税務署に提出する書類の作成
  • 税務相談 個別具体的な税務に関する相談

そのため、特に会計帳簿の記帳や給与計算は補助者が対応している事例が多くあります。対応する補助者の業務範囲や熟練度は、税理士事務所のコストの発生状況を左右するため価格の決定要因となります。

会計帳簿に関連する税理士事務所のコストを左右する要因

  • 補助者が対応する範囲を適切に限定しているか(重要な箇所は税理士が対応しているか)
  • 給与水準が高い熟練した補助者が対応しているか
  • 税理士が監督・確認を入念に行っているか

会計帳簿の情報は最終的に確定申告書に転記されるため、会計帳簿の品質は税理士事務所の業務品質に直結します。会計帳簿の品質を保つため、必要なコストを投じている場合には、クライアントへ請求する報酬も相対的に高いものとなります。

無資格の補助者による広範な対応は税理士法違反ではないのか?

特定の作業が税理士法に違反するかは、判別が難しいグレーゾーンも存在します。単にたたき台として会計帳簿の数値を機械的に確定申告書の所定の箇所に転記する作業のみ行った場合、相談を受けた内容を全て有資格者に報告し、有資格者の回答をそのまま伝えた場合等は、税務判断を伴っていないため、必ずしも税理士法違反ではないと解釈する余地もあります。

そして、税理士事務所の細かい業務フローまでは外部から把握できないため、実際には税理士法に違反した運用をしていても、あくまでも税理士法を順守した体制であると強弁されると、罰則の適用や税理士会による処罰は難しいという実態があります。

このような制度の特徴と、クライアントには業務品質の良否を判断しづらいという士業業務の特性を悪用して、確定申告書の作成や税務相談も含めて違法に補助者が対応し、激安で役務提供を行う事務所も存在します。

当然ながら業務品質は極めて低いものとなりますが、企業規模が小さいと税務調査の頻度が少なく外部の目が入りづらいため、問題が表面化するまで時間がかかるという問題があります。価格のみで税理士を選ばないことが重要です。

② 税理士事務所の創業年数からくる収益構造の相違

創業間もない税理士事務所は高品質かつ低価格のことが多い

税理士事務所の運営はストック型のビジネスで、一度顧問契約を締結すると余程の理由がない限り継続されクライアント数が逓増していくことになります。

そのため、スポットによる受任が中心となるビジネスと比較すると収益の発生状況が大きく異なり、創業年数が少ないと収益と利益が少ない傾向になります。

一方で、役員従業員が代表税理士のみの場合、稼働したとしても人件費の支出が発生するわけではないため(機会原価は発生)、固定費を回収するために一般的な相場よりも低い価格で受任することが珍しくありません。このような税理士事務所は、高品質かつ低価格という稀有な存在となります。

しかし、多くの場合は創業から1~2年程度の例外的な現象で、クライアント数が一定数に達した段階で品質に見合った価格に改定される場合がほとんどです。

③ 想定稼働時間の見積もりの相違

税理士事務所の稼働時間を事前に正確に見積もることは困難

最終的な成果物である確定申告書は、会計帳簿に基づいて税理士が作成しますが、会計帳簿は、納税者であるクライアントと税理士が共同して作成します。

一般的には、クライアントが会計帳簿を作成し、税理士が帳簿を点検・確認して修正していくという工程を踏みますので、クライアントの業務品質が大きく税理士の稼働時間を左右します。しかし、クライアントがどの程度の精度で会計帳簿を作成できるかは、クライアントの経理スタッフの経験等に依存するため、事前に正確に見積もることは困難です。

優秀な経理スタッフが離職したため税理士の稼働時間が急増する、反対に優秀な経理スタッフが入社したため税理士の稼働時間が急減することもあります。売上高や従業員数に基づく企業規模が同じでも画一的に定まる訳ではありません。

このように、稼働時間を事前に正確に見積もることは非常に難しい反面、稼働時間は税理士事務所のコストの発生状況を左右するため、稼働時間の見積もりの判断基準により、税理士報酬の見積もりも変わることになります。

想定稼働時間と実際の稼働時間との乖離は契約更新時に修正される

税理士の想定稼働時間が実際の稼働時間と乖離していた場合、多くの場合契約更新時に修正する措置が取られます。稼働時間の見積りが過大で、報酬も過大となっていれば減額交渉となりますし、逆に過少となっていれば値上げ交渉となります。事後的に適正な報酬水準に修正していくアプローチです。

上場企業等の大企業を主要顧客とする大手のファームでは、初めはタイムチャージの契約とし、正確な見積りが可能になった段階で契約書を巻き直す対応を取りますが、中小企業ではタイムチャージ方式へのハードルが高くあまり一般的はありません。

④ 経営判断への配慮の有無

契約上の税理士の義務は税務に限定されている

顧問税理士締結すると、契約に基づく税理士の責任は税務に限定されていることが一般的で、内部的な経営意思決定を支援する管理会計、利害関係者への財務報告を支援する企業会計に関するサービス(計算書類等の作成)は、別サービスとして提供されます。

しかし、多くの場合、管理会計や企業会計に係る支援まで依頼することは無く、クライアントは納税目的で作成された会計帳簿に基づき経営判断を行います。そのため、税理士事務所が作成した会計帳簿が、納税目的で作成されたという位置づけでありながらも、経営判断に用いられることに配慮し、一定の意思決定の有用性を保持しているかは重要な違いになります。

経営判断に配慮すると作業工数は顕著に増加する

会計帳簿の意思決定の有用性を保持しようとすると、収益費用の対応や開示への配慮が必要となり、税理士事務所の作業工数は顕著に増加するとともに、対応する人員に求められる知見もより高度なものが必要になります。

⑤ 訪問頻度

WEBミーティングツールの使用の有無は価格への影響が大きい

Google meet、zoom等のWEBミーティングツールは近年普及したものですので、以前は税理士が月1回クライアントを訪問し、試算表の共有と共に税務相談等に応じる方式が一般的でした。税理士が訪問すれば、移動時間も人件費等は発生するため、当然ながら請求する報酬に何らかの形で織り込む必要があります。

例えば、1時間の打ち合わせであっても、移動に往復2時間かかれば、合計3時間の稼働に対応した請求となります。旅費交通費等の実費も上乗せされます。しかし、WEBミーティングツールを使用すれば純粋な打ち合わせの時間に対応した請求だけで済みます。

このように訪問の頻度は税理士事務所のコストの発生状況に大きく影響するため、訪問回数で料金表を区分している事務所もあります。訪問頻度を左右するWEBミーティングツールの使用の有無は価格への影響が大きいと考えられます。

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AIknot会計事務所/AIknotコンサルティング合同会社
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監修者

PwCあらた有限責任監査法人の金融部門に所属。保険会社を中心とした会計監査、内部統制監査、各種コンサルティング業務に従事。AI化推進室に兼任で所属し、公認会計士業務の自動化を担当。

セコム損害保険株式会社、THホールディングス株式会社における、保険数理、金融派生商品の評価、予実統制、税務、M&A、企業再生、IPO支援の経験を経て、PEファンドJ-star傘下、株式会社Free Spark、株式会社CyberKnot、Mattrz株式会社のCFOを歴任。

2020年、AIknot会計事務所を設立し代表に就任。
2023年、AIknotコンサルティング合同会社を設立し代表社員に就任。

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