上場企業や大会社には収益認識基準が強制適用
「工事契約に関する会計基準」と適用指針が廃止されますが、収益認識基準に工事進行基準と類似の規定があるため、上場企業等にはそこまで大きな影響はないと思われます。全く同じではありませんので、収益認識基準の趣旨を踏まえて収益認識していくことになるのではないでしょうか。
法人税法上は形式基準が残存
税務上も収益認識基準の考え方をそのまま適用できるように改正がなされましたが、10憶円以上の長期大規模工事の場合、工事進行基準が強制適用される法人税法上の規定は残存しています。工事進行基準と収益認識基準は考え方が異なりますので、会計上と税務上で収益の測定金額が変わってくることも厳密には起こりうるかもしれません。
<長期大規模工事>
①期間が1年以上(法人税法64条1項)
②請負対価が10億以上(施行令129条1項)
③請負対価1/2以上が工事の目的物の引渡期日から1年以上を経過する日後に支払われるものでないこと(施行令129条2項)
一応、事務手続きの手間に配慮した特例規定もありますし、今後通達等で補足されていくのかもしれませんが、実務上の煩雑さは否めません。
中小企業はどうなるのか
収益認識基準が強制適用されない中小企業はどうなるのでしょうか。「中小企業の会計に関する指針」には工事進行基準の規定が残存していますので、従来通りの会計処理が適用可能です。税務上も任意適用の規定がありますので(法人税法64条2項)、別表調整の必要性はないと考えられます。
結論としては、収益認識基準が導入されてもあまり変化はないのかもしれません。