個人事業主の食事代やカフェは経費になるのか?

目次

一人での食事やカフェ利用の場合

必要経費に該当するためには「業務の遂行上必要」が求められる

必要経費に算入するためには業務の遂行上の必要性が求められます。

食事は業務遂行の有無に関わらず生存のために必要な行為ですので、特に一人での食事の場合、必要性を主張するためのハードルは高いと考えられます。

作業場所を確保するためのカフェ代は必要経費になる

外回り中に作業場所やインターネット環境が必要になりカフェに入店した場合には、一般的な飲料代であれば必要経費になると考えられます。屋外で書類を広げて作業することは現実的ではありませんので、作業をするのに必要であったと認められるためです。

しかし、同時に食事をした場合には、必要経費にならない可能性が高いと感じられます。食事をしなくても作業場所を確保し作業をすることはできるため、業務遂行上の必要性に疑義がつくためです。

アポイントの待ち時間のカフェ利用も業務を行っていれば算入可能

取引先との打ち合わせの時間より少し早く現地に到着し、空いた時間にカフェに入店し作業を進めた場合の飲料代も必要経費に算入できると考えられます。

しかし、単に時間を潰すことが目的で何らの作業を行っていない場合には、業務上の必要性がありませんので必要経費にならない可能性が高いと思います。また、食事代も必要経費になりません。

一人での食事代は必要経費にならない場合が多い

先に見てきたように、一人での食事代が業務遂行上必要であったと言えるケースは多くないと考えられます。

会議費としての必要経費への算入

会議費に該当する場合の食事代は必要経費に算入できる

会議費に該当するための要件については下記の記事をご参照ください。

単に「仕事の話をした」というだけでは会議費にならない可能性が高い

帰り道に従業員と食事をとり仕事の話をした、あるいは親族のみで運営している事業において食事中に仕事の話が出たとしても、仕事の話をしたということをもって必要経費に算入すると否認される可能性は高いと考えられます。

租税特別措置法関係通達に定める「通常会議を行う場所」と言えなければ会議費になりませんし、所得税法施行令第96条1項1号に定める「業務遂行上の必要性」「必要である部分を明らかに区分することができる」などの要件を充足しないと考えられるためです。

交際費としての必要経費への算入

交際費では「具体的な業務との関連性」が求められる

単に人脈を広げるという抽象的な必要性があるというだけでは、業務との具体的な関連性があると認めることはできない(中略)

法人の支出した飲食等の代金が交際費等に該当するためには、その支出の目的が一般的・抽象的なものでは足りず、具体的に当該法人の業務と関連性があるものであることを要する(中略)

法人が支出した個別の飲食等に係る接待交際費と、その後相手方との間で行われた個別具体的な取引・契約等の厳密な結び付きが認められない限り、業務との関連性が認められないと解する必要はない

東京地裁民事3部令和5年5月12日判決

交際費として必要経費に算入できるかの検討においては上記の判例が参考になります。

売上高が発生している取引先との交際費しか許容されないというような限定はしていないものの、単に人脈を広げるという抽象的な必要性では足りず、具体的な業務との関連性が必要と判示しています。

法人の交際費への該当に係る判例ではありますが、個人事業主においても具体的・客観的な業務との関連性が主張できるのであれば必要経費に算入できると考えられます。

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この記事を書いた人

PwCあらた有限責任監査法人の金融部門に所属。保険会社を中心とした会計監査、内部統制監査、各種コンサルティング業務に従事。AI化推進室に兼任で所属し、公認会計士業務の自動化を担当。

セコム損害保険株式会社、THホールディングス株式会社における、保険数理、金融派生商品の評価、予実統制、税務、M&A、企業再生、IPO支援の経験を経て、PEファンドJ-star傘下、株式会社Free Spark、株式会社CyberKnot、Mattrz株式会社のCFOを歴任。

2020年、AIknot会計事務所を設立し代表に就任。
2023年、AIknotコンサルティング合同会社を設立し業務執行代表社員に就任。

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