残業時の食事代は非課税?食事代の支給による節税方法を解説!

役員従業員に食事代を支給しても、福利厚生費に該当することで給与として所得税等が課税されず、非課税になることがあります。支給した事業者側では損金になるため、税負担の軽減が期待できます。

目次

通常の勤務時間と通常の勤務時間外(残業時)で取り扱いが異なる

非課税になるかの諸条件等は、通常の勤務時間の支給か、通常の勤務時間外(残業時)かで取り扱いが異なります。

通常の勤務時間の支給は、一般的には昼食の支給が該当します。通常の勤務時間外の支給の支給は、残業時における夕食代の支給が主に該当すると考えられます。

通常の勤務時間の取り扱い

食事を現物支給した場合の非課税要件

食事を現物支給した場合で、福利厚生費になり給与として課税されないための要件は次の通りです。なお、食事の現物支給とは、弁当等を現物で支給する行為を指します。

次の2つの要件の双方を充足する必要があります

  • 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
  • 会社負担額が1か月当たり7,500円(税抜)以下であること
「会社負担額」とは?

会社負担額=食事の価額-役員や使用人が負担している金額

「食事の価額」とは?

1 弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額

2 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額

食事代を金銭支給して補助する場合の非課税要件

食事代を金銭支給して補助した場合は、全額が給与として課税されます。

福利厚生費になるための前提条件

福利厚生費に共通する留意事項ですが、特定の役員従業員のみが対象であったり、著しく多額である場合は非課税にはなりません。

(課税しない経済的利益……用役の提供等)
36-29 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。

所基本通達36-29

役員しかいない会社で役員全員が制度の対象となっている場合、「役員だけを対象として供与される場合」に該当して課税の対象となるかが問題となりますが、課税庁は該当するとの見解を示すことが多い印象です。ただ、明確な根拠があるわけではなさそうです。

しかし、課税庁との見解の相違を生じさせないためには、1名以上従業員が在籍しており、かつ役員及び従業員全員が制度の対象となっていることが重要です。

通常の勤務時間外(残業時)の取り扱い

食事を現物支給した場合の非課税要件

残業時に現物支給する食事は、通達に基づき非課税となります。

(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)
36-24 使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。(昭50直法6-4、直所3-8改正)

所基本通達36-24

なお、通常の勤務時間における食事の現物支給と同様に、福利厚生費に共通する要件として、特定の役員従業員のみが対象となっていない、著しく多額ではない、という前提条件の充足は必要です。

食事代を金銭支給して補助する場合の非課税要件

食事代を金銭支給して補助した場合は、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり650円(税抜)以下の金額を支給する場合のみ非課税となります。

シフト制等で通常の勤務時間帯が深夜になっている従業員に、社員食堂を利用させたり、弁当を支給することは難しい場合が多いですから、例外的に金銭支給でも非課税にする措置であると考えられます。

食事を現物支給する場合と比較すると、要件が大きく異なっている点に留意が必要です。

食事代を金銭支給して補助する場合の非課税要件

  • 深夜勤務者のみが対象
  • 1食当たり650円(税抜)以下
  • 夜食の支給ができない状況であること
「深夜」とは?

「深夜」は、労働基準法の定めを根拠にして22時から翌5時を指すと解釈されることがあります

「深夜勤務者」とは?

通常の勤務時間が深夜(22時から翌5時)にかかる勤務者のこと

節税効果が大きいのは残業時の食事の現物支給

通常の勤務時間外(残業時)の食事の現物支給は金額要件が厳しくない

既に見てきた通り、食事の現物支給、又は食事代の金銭支給による補助を福利厚生費として損金算入し、所得税等を非課税とするための要件は、概ね金額の制限が厳しく使いづらいものになっております。

しかし、通常の勤務時間外(残業時)に食事を現物支給した場合には、福利厚生費に共通して要求される「特定の役員従業員のみが対象となっていない」「著しく多額ではない」という要件しかありません。

そのため、通常の勤務時間外(残業時)に食事を現物支給する福利厚生が、最も活用しやすいということになります。

実費精算方式は「食事の現物支給」に該当するのか?

節税効果が大きい、通常の勤務時間外(残業時)の食事の現物支給を導入する場合、ハードルとなるのが社員食堂の整備や弁当の購入です。社員食堂は非常にハードルが高く、多くの場合は弁当の購入を検討することになりますが、立地によっては選択肢がないこともあります。

そこで、役員従業員が近隣で外食し、その実費を経費精算する場合に、「食事を現物支給する場合」になるのか、それとも「食事代を金銭支給して補助する場合」に該当するのかが問題となります。

結論としては、「食事を現物支給する場合」に該当し非課税になるというのが主要な解釈です。金銭支給の場合に非課税となる要件が厳しいのは、食事に要した実費を上回って補助される可能性を考慮したものと考えられますから、実費の精算である以上、非課税となる趣旨に即していると考えられるし、会社が弁当を購入して支給した場合と経済的には同質であるためです。

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監修者

PwCあらた有限責任監査法人の金融部門に所属。保険会社を中心とした会計監査、内部統制監査、各種コンサルティング業務に従事。AI化推進室に兼任で所属し、公認会計士業務の自動化を担当。

セコム損害保険株式会社、THホールディングス株式会社における、保険数理、金融派生商品の評価、予実統制、税務、M&A、企業再生、IPO支援の経験を経て、PEファンドJ-star傘下、株式会社Free Spark、株式会社CyberKnot、Mattrz株式会社のCFOを歴任。

2020年、AIknot日本橋会計事務所を設立し代表に就任。
2023年、AIknotコンサルティング合同会社を設立し代表社員に就任。

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