TKCから会計データを移行する方法とは?やり方と注意すべき点を解説

目次

TKCからの会計データ移行は難解

一般的なコンバータが適用できない

今時の会計ソフトはコンバータが付いており、割と大雑把にデータを加工して放り込んだとしても、コンバータが自動変換や候補を挙げてくれる等して、スムーズに引っ越しが完了します。

CSVでの移行もスムーズにはいかない

コンバータが付いていないとCSVファイルできっちりと加工しなくてはなりませんが、特段難しいことはありません。その中で唯一苦労したのがTKCからの会計データ移管でした。

TKCの特殊性

税理士からのレンタルという契約方式

TKCの会計ソフトは税理士からのレンタルという契約になっています。TKCに入会した税理士が貸し出すことができ、エンドユーザーはTKCのソフトウェアを購入することができません(※個人の憶測です)。

そして、オーナーである税理士にしかない管理メニューが多くあり、経理を内製化するには適していないと感じました。あくまでも、税理士が指導しながら主導するという業務フローを想定した作りになっています。相応の会社規模になると、税務も含めて内製化されてくることは珍しくありませんので、この辺の仕様をどう評価するかは難しいところです。

特殊なデータベース構造

スクロールできます
借方借方金額貸方貸方金額
売掛金500売上高500
対象外課税売上10%
通常の会計ソフトのデータベース構造

大抵の会計ソフトは、仕訳の借方、貸方双方が消費税区分に係るデータを保有しております。

スクロールできます
借方借方金額貸方貸方金額
売掛金500売上高500
課税売上 – 10%
TKCの会計ソフトのデータベース構造

しかし、TKCは一つの仕訳で消費税区分に係るデータを一つしか保有していないのです。普通にリレーショナルデータベースにすればいいのに、と思うのですが不思議でなりません。

一般的な、借方売掛金(対象外)、貸方売上(10%課売)という仕訳は可能です。どうなっているのかと言うと、仕訳の消費税区分には 「10%課売」という情報を付すのですが、同時に売掛金は勘定科目により「対象外」と判断される仕組みになっているようです。そのため、10%課税取引と軽減税率8%課税取引を一つの仕訳に内包することができません。

また、一つの仕訳に対して一つの消費税区分しか保有できないため、貸借で消費税区分が相違する場合、「諸口」勘定を挟んで二つの仕訳に分離しているようです。これも、総勘定元帳を閲覧した際の分かりづらさを助長しております。

仕訳データに部門情報が付与されない

一般的に、データを出力するためにデータの「出力」あるいは「エクスポート」等のボタンが用意されておりますが、TKCでは「切り出し」と呼称するようです。

そして、仕訳データを切り出す際、部門を選択しないと部門情報が除去された状態で切り出されます。部門を選択すると、今度は部門情報が付与されていない仕訳が除去されて出力されます。

よって、部門を選択せず仕訳データを切り出し、別途全部門を選択して仕訳データを切り出し、両者を結合して部門情報を有する仕訳データを用意する必要があります。

会計データをコンバートする方法

TKCから他の会計ソフトにデータを移行する場合、一般的な形式にデータをコンバートしなくてはなりません。つまり、借方、貸方の両方が消費税に係る入力データを保持している形に修正する必要があります。

明らかに対象外区分となる勘定科目をリスト化し、それらのリストに該当する場合には消費税区分を対象外にし、該当しない場合には仕訳に付された消費税区分を読み込んでいく、という処理で変換しました。

取引先データの特殊性

補助科目の他に保有している「取引先」データも特殊です。補助科目以外に、取引先データを保有していること自体は決して珍しくありません。

例えば、地代家賃だと補助項目に物件名を付しますが、取引先ごとに閲覧したい場合もあります。取引先データも保有していると、これらを区分して入力することができます。しかし、普通は補助科目ごとに閲覧、取引先ごとに閲覧と切り替えができるという、単純明快な構造になっております。

しかし、TKCはこの点も特殊です。総勘定元帳を閲覧すると、補助科目のデータのみ保有している勘定科目は補助科目ごとに表示され、取引先データのみ保有している勘定科目は取引先ごとに表示され、切り替えはできないように見受けられました。

両方のデータを保有している場合には補助科目ごとに表示されました。恐らくは、補助科目優先表示という仕組みなのだと思います。

一般的なデータベースの常識を無視した構造になっており、様々な点で取り扱いが困難な面がありました。

留意すべき事項

複数の消費税区分が1つの仕訳に挿入されている場合は要注意

前述の方法で会計データを移行することができました。

しかし、手作業での調整が必要な部分もありました。例えば、土地の取得で付随費用として課税仕入れが含まれている場合です。

スクロールできます
借方借方金額貸方貸方金額
土地300普通預金300
非課税仕入
TKCにおける土地取得仕訳の入力

TKCでは、一つの仕訳に対し一つの消費税区分しか存在せず、土地に着目して仕訳全体は非課税仕入になるところ、付随費用に課税仕入が含まれている場合、借方に仮払消費税を計上しなくてはなりません。TKCで仕訳を切る際は、手動で調整が可能です。

しかし、一部を課税仕入れに修正したという形跡が、エクスポートデータのどこにも見受けられないのです。そのため、会計データを移行した後に手作業で修正する必要がありました。

通常通り使用する分には便利

あくまでも会計データの移行の際に苦労したという話であって、TKCで通常通り記帳する分には使いやすく便利でした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

PwCあらた有限責任監査法人の金融部門に所属。保険会社を中心とした会計監査、内部統制監査、各種コンサルティング業務に従事。AI化推進室に兼任で所属し、公認会計士業務の自動化を担当。

セコム損害保険株式会社、THホールディングス株式会社における、保険数理、金融派生商品の評価、予実統制、税務、M&A、企業再生、IPO支援の経験を経て、PEファンドJ-star傘下、株式会社Free Spark、株式会社CyberKnot、Mattrz株式会社のCFOを歴任。

2020年、AIknot会計事務所を設立し代表に就任。
2023年、AIknotコンサルティング合同会社を設立し業務執行代表社員に就任。

目次