事業開始にあたりいつから税理士に相談すべきか悩むことは珍しくありません。起業・会社設立の流れから税理士に相談すべきタイミングを解説いたします。
起業・会社設立の流れ
事業を運営する主体を法人にするか個人事業主か決定する
まず、会社を設立するか個人事業主として事業を行うかを決定する必要があります。通常は、個人事業主として事業を行い、事業の規模が拡大した時点で法人成りしますが、取引先との関係で法人格が必要等の理由で初めから法人を設立することもあります。
事業規模が大きくない段階では、個人事業主の方が税制上有利です。

会社設立の流れ(運営主体を法人にする場合)
設立する会社の種類を決定します。通常は、株式会社か合同会社の選択になります。一人で会社を設立する場合は合同会社が想定されています。
株式会社は、元々は多数の株主から出資を受けて設立する大規模な会社を想定しており、最低資本金1,000万円等の規制もありました。そのため、定時株主総会の開催義務や毎年の決算公告義務がある等、法令を遵守して運営することは容易ではない側面もあります。設立費用も株式会社の方が高いです。
ただ、株式会社の方が人気と知名度があるのは事実ですので、事業への影響を加味して会社種類を決定します。
定款は、会社の基本ルールです。例えば、会社の本店所在地、代表取締役の選出方法、取締役数の上限等、会社運営において根幹となるルールが記載されます。発起人が複数人いる場合には非常に重要性が高く、司法書士に相談することが大切です。
出資金、資本金、資本準備金の設定等、税務に関連する事項も決定する必要があります。商号は知的財産権に配慮して決定する必要があり、必要に応じて弁理士への相談が推奨されます。許認可が必要な事業の場合は行政書士への相談も重要です。
前述の通り、株式会社は発起人が複数存在しており、定款がその利害調整を行うことを想定しているため公証人による定款認証が義務付けられています。合同会社の場合は不要です。
公証人町役場での定款認証の予約を混み合っていることも多く、2~3週間先の日程でないと予約が取れないことも多くあります。
公証人による認証済みの定款を添付して法務局に設立登記申請を行います。不備がなければ、10営業日程で審査終了になることが多いです。
法務局で法人の全部事項証明書の発行を受けられるようになります。会社設立の登記が完了したことを証明する書類として機能します。
全部事項証明書を添付して、税務署、年金事務所、都道府県、市区町村へ設立に係る届出を行います。これで会社設立の一連の手続きは完了です。法人口座も開設できるようになります。
会社設立にあたり準備しておくべきこと
会社設立にあたり準備しておくべき事項は次の通りです。
会社設立にあたり準備しておくべき事項
- 商号の決定
- 発起人個人の印鑑登録証明書
- 設立する会社の印鑑(代表者印、角印、認印)
商号は、他者の商標権を侵害しないように注意して決定する必要があります。
印鑑は、使用する機会は昔ほど多くありませんので、耐久性が高い印鑑を購入する必要性は薄れてきており、安価な木製の印鑑で十分と考える方が多くなってきています。但し、セキリティ上の問題から、同一の印影が市販されていない手彫りのものが良いと思います。
定款の定めにおいて、公告方法を電子公告にする場合には、ドメインを取得しておく必要があります。公告を掲載するURLが登記事項になるためです。
個人事業主の開業の流れ(運営主体を個人事業主にする場合)
所轄税務署等に開業の届出を提出します。法人と異なり、個人事業主に係る情報は登記事項ではないため登記申請に係る一連の手続きが全て不要です。
税理士に相談すべきタイミングは?
定款作成と設立届がポイント!定款作成時の税理士への相談が重要
定款には、出資金及びその内訳として資本金、資本準備金の情報が記載されます。出資金や資本金の額は、消費税の免税事業者への該当、地方税の税率等に影響するため、定款の作成段階で税理士に相談することが大切です。事業年度の設定が税務に大きく影響する場合もあります。
登記手続きなので司法書士だけに相談すればよいだろうと考えてしまい、多額の損失を被る事例は珍しくありません。司法書士の先生は、税理士法の規制で税務相談にのることはできませんので留意が必要です。遅くとも、定款を作成する段階で税理士と顧問契約を締結しておいた方が良いと考えられます。
なお、商号、許認可等、必要に応じて弁理士や行政書士に相談することも重要です。
設立届の提出遅延・提出漏れは多い
会社設立時の税務署、年金事務所、都道府県、市区町村への届出は、会社設立日から一定の期間以内に提出することが義務付けられており、この期限を超過すると税制上の優遇が受けられなくなることがあります。
会社設立時の主な届出(※状況に応じて変わります)
- 法人設立届出書(税務署、都道府県、市区町村)
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設等届出
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請
- 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書
- 消費税申告期限延長届出書
- 適格請求書発行事業者の登録申請書
- 電子申告・納税等開始(変更等)届出書
役員報酬の決定にも期間の制限があり、場合により届出書の提出が必要です。専門家の支援を受けないと提出漏れも多い手続きで、税理士への相談を後回しにしないことが大切です。

創業融資を受ける場合にはより早い段階での相談が必要
敷金、内装工事費等のための創業融資を受ける場合
事業開始と同時に創業融資を受けて敷金や内装工事費等の支払いを行う場合には、事前に事業計画を策定し融資の打診をしておく必要があります。事業を開始する3~6か月前には税理士に相談し、話を進めておくとよいと思います。
運転資金のための創業融資を受ける場合
運転資金への充当を目的とした創業融資で、事業開始日と融資実行日の間があいても問題がない状況でしたら、事業を開始した後に融資の相談をしても手続きとしては特に支障は出ません。しかし、融資が下りないことで資金繰りに問題が生じる可能性がある場合には、やはり早い段階で税理士に相談し、融資獲得の可否の検討と、金融機関へ打診をしておいた方がよいと考えられます。
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